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生活保護受給者は葬儀をおこなえる?補助制度や申請方法、注意点を解説

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「生活保護を受給しているけど、葬儀をおこなえるのか不安」、「身内が生活保護受給者だけれど葬儀はどうしたら良いのか分からない」など、お葬式ができるのか悩んでいる方もいるはずです。

そこで生活保護受給者は葬儀をおこなえるのか、支援制度はあるのかなどを詳しく解説します。

生活保護受給者は葬儀をおこなえる

生活保護を受給していると支給されているお金の使い道が制限されていたり、住む場所が限られていたりなど、自由な生活ができない面があります。

そのため生活保護を受給していると葬儀をおこなえないのではと不安を抱いている方は少なからずいるでしょう。

結論からいうと、そのような心配はまったく必要ありません。生活保護受給者でも葬儀をあげることは可能ですし、金銭的な理由で葬儀ができない場合は支援を受けられます。

「生活保護葬」という制度が存在し、生活保護受給者でも最低限の葬儀はおこなえます。

生活保護葬とは

生活保護受給者で経済的な理由などで葬儀をあげられない場合でも、「生活保護葬」を利用して葬儀がおこなえます。

生活保護葬は「葬祭扶助」や「福祉葬」、「民生葬」などと呼ばれることもあり、各自治体によって呼び名が変わることがあります。

どのような呼び名でも受けられる支援の内容に違いはほとんどありません。

生活保護受給者が利用できる葬祭扶助とは

生活保護受給者が利用することができる葬祭扶助は、生活困窮者に向けて最低限の葬儀をおこなえるように助成金が支給される制度です。

葬祭扶助の支給金額

葬祭扶助の支給額は大人が209,000円以内、12歳未満の子どもの場合は167,200円以内が目安となります。

あくまでも目安の金額で、各自治体によって金額は変動します。

葬祭扶助の支給内容

葬祭扶助は生活保護法の第18条に基づいて、死亡診断書の発行費用や遺体搬送費用、ドライアイスや安置料、お棺や骨壷、火葬料分の費用が支給されます。

受け取った助成金でおこなえる葬儀の種類は直葬のみで、お通夜や告別式などはおこなえません。

葬儀でよく見られる祭壇などは設置されず、必要最低限のことができる金額が支払われます。支給されるお金のなかには納骨やお墓の費用は含まれません。

葬祭扶助の対象となるケース

故人が生活保護受給者かつ身寄りがいない

故人が生活保護者で、身寄りがいない場合は葬祭扶助の対象です。このケースでは民生委員や後見人、家主など故人の遺族、または親族以外の人物が葬儀の手配をすることを想定しています。

身寄りがあったとしても遺骨の引き取りを拒否されてしまった、面識がほとんどない身内しかいない場合もこのケースが当てはまります。

喪主や遺族が生活保護者である

故人ではなく喪主や遺族が生活保護受給者の場合も対象となります。

葬儀費用が支払えない状況と認められた場合

生活保護受給者ではなく、経済的な理由で葬儀をとりおこなえない場合でも、申請をして受理されれば葬儀費用が支給されることもあります。

葬祭扶助が対象外となるケース

葬儀費用を支払える人間がいる

たとえ生活保護を受給していたとしても葬儀をおこなえる貯金などがあったときには対象外となります。

また遺族のなかに故人の葬儀費用が出せる人物がいる場合も、助成金の対象外となるので注意しましょう。

葬儀の規模が支給額以上である

葬儀の規模が大きく支給額の範囲の葬儀ではない、必要最低限の葬儀ではないと判断されたときにも葬祭扶助の対象外です。

お通夜や告別式などをおこないたいからといって助成金を受け取りながら、一部は自己負担でまかなって葬儀をおこなえません。

葬祭扶助の申請・葬儀の流れ

福祉事務所へ連絡をする

まず申請に必要な書類をすべて用意し、申請者が住んでいる地域の民生委員やケースワーカー、役所の福祉係に連絡をしましょう。

申請方法や対象者となるのかなど不明点の相談や、これからの手続きなども詳しく教えてくれます。

葬祭扶助の申請をおこなう

各自治体の福祉事務所に行き、葬祭扶助の申請をします。申請は基本的に葬儀をおこなう前で、葬儀後に申請することはできません。

葬祭扶助を申請する本人と故人の住民票が違うときには、申請する方の住民票がある地域で申請手続きをおこないましょう。

葬儀社へ依頼する

申請を終えたら葬儀社に連絡をし、葬祭扶助で葬儀をとりおこないたい旨を伝えます。葬儀社のなかには生活保護受給者の葬儀はおこなっていないところもあるので、必ず事前に確認しておきましょう。

葬儀社の担当者と火葬の日時、火葬場、葬儀プランなど具体的な打ち合わせをします。

葬儀をおこなう

生活保護葬は火葬のみです。火葬に立ち会いを希望する親族や知人がいる場合は当日に火葬場に来てもらうことになります。

火葬場で発生するお部屋代や椅子代などの費用は、基本的に自己負担です。火葬は1日で終わり、お通夜や告別式、お斎はおこなわないことを事前に参列者には伝えておきましょう。

役所から葬儀社へ費用の支払い

葬儀にかかった費用は役所や福祉事務所から、葬儀社に直接支払われます。喪主を介して支払う必要はありません。

葬祭扶助を利用して葬儀をおこなう場合の注意点

葬祭扶助の申請者になれるのは扶養義務者

葬祭扶助の申請をおこなえるのは故人の扶養義務者です。扶養義務者の対象となるのは以下のとおりです。

・故人と婚姻関係にある人物
・故人の子どもや孫
・父親や母親
・祖父母
・兄弟または姉妹
・故人と同居していた人物

血の繋がりがなくても条件さえ満たしていれば第三者でも申請することは可能です。

・故人の家の管理人や家主
・故人の入院先の院長
・後見人や補佐人、保佐人

審査完了後に葬儀を執りおこなう

葬祭扶助の申請は必ず葬儀をおこなう前にしなければいけません。生活保護法が適用となるのは、あくまでも生活に困窮する方であることです。

急いで葬儀をおこなおうと無理をすれば葬儀をおこなえる費用がある、実はお金に困っていないのではないかと疑われてしまうこともあるのです。

葬儀を急いでおこなったり、審査中に無理やり葬儀をしたりせず、必ず審査完了後に葬儀をおこないましょう。審査中に葬儀をおこなってしまうと申請が受理されません。

葬儀社に葬祭扶助を利用する旨を伝えておく

葬儀社に何も伝えずに葬儀をしたいということだけ伝えてしまうとお通夜や告別式の準備を始めてしまうことがあります。

生活保護葬ではあくまでも必要最低限、シンプルな葬儀となるのでお通夜や告別式の準備は不要です。早めに葬儀社には葬祭扶助を利用する旨を伝え、生活保護葬の準備を進めてもらうようにします。

直葬以外の形式では基本おこなえない

生活保護法に基づき、生活保護葬では検案や死体の運搬、火葬または埋葬、納骨など葬祭のために必要なものだけをおこなうことが認められています。参列者が集まってお通夜や告別式などはおこなわず、病院や自宅から火葬場にそのまま運搬される直葬となります。

読経・戒名・納骨・お墓代は含まれない

葬祭扶助には読経や戒名、納骨代やお墓代は含まれていません。直葬のときにお坊さんに読経してもらいたい、戒名をつけてほしい場合は自己負担となるので覚えておきましょう。

生活保護受給者の葬儀に関するよくある疑問

香典は受け取ってもよいのか

葬祭扶助を受けていても、香典を受け取れます。生活保護受給者が何らかの収入を得た場合は必ず担当者に報告しなければなりませんが、香典は収入とはみなされません。

また香典の使いみちに制限はないので、香典を受け取ったら故人や遺族のために使っても構いません。

香典返しの費用は葬祭扶助の対象外なので、自費でお返しをします。

生活保護者の遺品整理は誰がおこなうのか

遺品整理は基本的に親族がおこないます。生活保護は本人が亡くなった時点で支給が打ち切られるので、生活保護でもらったお金で遺品整理することはできません。

経済的な理由で遺品整理ができないときには、各自治体やケースワーカーなどに相談してみるのも一つの手です。

葬祭扶助が受理されなかった場合

条件をクリアすることができずに申請が却下されてしまった場合は、葬儀社の直葬プランを選択しましょう。

最低限の葬儀だけとなり、費用も安く抑えられます。

葬儀社に金銭的な理由で大々的な葬儀はできない、直葬のみにしたいと相談してみましょう。最適なプランの提示をしてくれます。

また火葬したあとに遺骨を入れるお墓がない、お墓を用意する費用がないときにはとりあえず自宅で保管しておくのもよい方法です。

法律では納骨の期限は特に決められていないので、家の仏壇などに遺骨を置いておいても問題はありません。

ある程度の費用を用意することができる場合は納骨堂を利用するのもよいかもしれません。納骨堂は高額な費用は必要なく、数万円で入ることができるところもあります。

まとめ

葬祭扶助は生活保護受給者もきちんと葬儀ができるように費用負担をしてくれる制度です。

生活保護受給者の方で何かあったときにはまず葬祭扶助の対象となるのか確認して、葬儀をおこなう前に申請するようにしましょう。

分からないことがあれば各自治体の福祉課などに相談をして、アドバイスをもらうようにしましょう。

今回は生活保護受給者の葬儀についてお話しましたが、やはり葬儀はまとまったお金が急に必要になるもので決して安い金額ではありません。そのため事前に準備しておくと安心です。

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今回を機に葬儀費用の準備について今一度考えてみるのはいかがでしょうか。
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