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葬儀費用は控除される?対象費用や対象外費用を徹底解説

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こんにちは。ベル少額短期保険の上久保です。
もし葬儀を執りおこなうことになった場合、一部の葬儀費用は控除されるということをご存じでしょうか。本記事では控除の対象になる費用と対象にならない費用についてわかりやすく解説しています。

葬儀費用と控除の関係性

債務控除とは

債務(さいむ)とは特定の人に対して特定の行為や給付を、決められた期日までに提供しなくてはならない義務のことです。

債務には複数の種類があり、

・お金を借りた際に返済する義務
・給与を受け取り労働を提供する義務
・物品を購入した際に代金を支払う義務

などがあります。

債務控除とは相続税の計算をするときに遺産(相続財産)を調べ、それをもとに計算をします。

亡くなった方に借用証書などの借入金があった場合に遺産から差し引くことができます。
それにより相続人の相続税額を減らすことが可能です。

遺産から差し引くことができるのは以下の2つになります。
1.債務 確実に亡くなった方の債務であると認められるもの
2.葬儀費用 (債務ではないが特例)として遺産から差し引くことができる

債務控除をすることで相続に関わる費用を遺産総額から差し引くことができ、余分な相続税を支払わずに済むというメリットがあります。

確定申告できない

葬儀費用は確定申告で控除できません。

葬儀費用は所得ではないため所得控除の項目になく、確定申告による控除はできません。

また所得税の確定申告が必要な人が年の途中で亡くなり、確定申告や納税がおこなわれていないときは、相続人が確定申告をおこなう必要があります。

被相続人が個人で確定申告しなければならない人である場合、相続人が代わりに確定申告をおこなう「準確定申告」をする必要があります。

※準確定申告は相続が発生した日から4か月以内に済ませる必要があります。

相続税から控除される

相続税は、被相続人から財産を相続した相続人に課される税で、相続人が取得した財産の額に対して課税されます。

しかし、相続税は必ず課税されるものではなく、相続税の基礎控除額を超える場合に課税されます。

葬儀費用は所得扱いにならない代わりに、被相続人が残した債務として扱われるため、遺産総額から差し引けます。
したがって、相続税を納税することになった場合は控除が可能です。

控除対象になる葬儀費用

以下の葬儀費用は相続財産から控除できます。(相続税法基本通達13-4葬式費用)

これらは「葬儀を執りおこなう上で確実に発生すると考えられる費用」とされており、遺産総額から差し引けます。

火葬・埋葬・納骨にかかった費用

火葬・埋葬・納骨は葬儀において必ず発生すると考えられるため控除対象となります。

遺体や遺骨の回送費用

遺体や遺骨の回送は、葬儀を執りおこなう中で必ず発生すると考えられる作業であるため、それに伴って発生した費用は控除対象となります。

通夜や告別式の費用

通夜や告別式は葬儀の前後に生じた費用で、通常葬儀にかかせない費用と考えられるため控除対象となります。

お寺などへの謝礼(お布施,戒名料,読経料など)

葬儀にあたり、お寺などに対して読経料などのお礼をした費用は控除対象となります。

遺体の捜索や運搬・遺骨の運搬にかかった費用

遺体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用は必ず発生するため控除対象となります。

会葬御礼費用

会葬御礼(かいそうおんれい)とは、通夜や葬儀に参加していただいた弔問客へお礼として渡す品物のことです。
香典をいただいていない場合でも、弔問客の全員に渡します。

会葬御礼とは別途で香典返しをしている場合は、会葬御礼費用は控除対象となります。

ただし、会葬御礼と別途で香典返しをしていない場合は控除対象にはなりません。

参列者への飲食費用や生花費用、関係者への心付けなど

通夜や告別式で発生した飲食費用や生花費用、関係者への心付けも控除対象となります。

控除対象にならない葬儀費用

以下の葬儀費用は相続財産から控除できません。(相続税法基本通達13-4 葬式費用でないもの)

これらは必ずしも「葬儀を執りおこなう上で確実に発生すると考えられる費用」ではないため、遺産総額から差し引くことができません。

香典返しの費用

「香典返し」とは、忌明け以降に香典を包んでくれた方に渡すお返しのことを指します。
香典返しの品物は、いただいた香典の3分の1~半額程度の金額の品物を渡します。
香典返しは必ずおこなうわけではないので、費用は控除対象外となります。

会葬御礼と香典返しを一緒にしている場合は、会葬御礼も控除対象外となるため御注意ください。

墓石や墓地、仏具(位牌など)の購入費用

墓石や墓地の購入は親族が亡くなった場合ほぼ必ず発生しますが、葬儀自体とは関係がないため葬儀費用として扱われないため控除対象外となります。

仮位牌の場合は葬儀から四十九日法要までに使う本位牌を用意するまで、葬儀に必ず必要なものとして扱われるため控除対象となります。

一方、本位牌は四十九日法要後に必要なものであるため、控除対象外となります。

墓地の借り入れ費用

墓地の借り入れは、墓石や墓地、仏具の購入と同じく葬儀に直接関係があるわけではないため控除対象外となります。

初七日や法事などの費用

法会に要する費用は葬儀とは関係がないと見なされるため、控除対象外となります。

ただし初七日を通夜などと同時におこない、費用が区別されていない場合や四十九日の際の納骨にかかった費用は、通夜や告別式の費用として扱われるため控除対象となります。

遺体の解剖などの医学上発生する費用

遺体の解剖などをした際に発生する医学上必要な費用は控除対象外となります。

葬儀費用を控除する際の注意点

相続税から葬儀費用の控除をトラブルなく受けるために、以下の準備をしておきましょう。

できるだけ領収書を残しておく

葬儀社などから発行された領収書や領収書の明細書は必ずもらい、無くさずに残しておきましょう。

中には読経料やお布施、心付けなど、領収書が発行されないものもあります。
下記の内容をしっかりとメモとして残しておくことで、根拠資料となり、相続財産からお布施などの金額も控除できます。

・目的(内容)
・支払日
・金額
・お寺の名称(支払先の名称)
・連絡先
・住所

通夜や告別式で発生した飲食費用や生花費用、関係者への心付けも控除対象となるため、領収書がない場合は忘れずにメモをしておきましょう。

虚偽の葬儀費用を申請しない

税金を少なくするために支払った事実がない葬儀費用をメモ書きで提出した場合、税務署に調査されたらすぐに見つかります。
見つかった場合は追徴課税を受けるため絶対にやめましょう。
不正はすぐに見つかります。

控除対象は社会通念上のもののみ

社会通念上相当とは、世間で一般的に妥当と認められるかどうかで判断します。

仮に100万円を心付けで払っても100万円という金額を世間一般的に妥当な金額であるとは考えられません。
したがって債務控除としては認められません。

ちなみに、心付けとして妥当な金額(相場)は、おおよそ2,000円~5,000円で、高くても1万円です。

お布施は領収書などをもらえないため、内容をメモしておきましょう。

上述の通り、控除申請をするのは下記に記載した控除対象になるものとしましょう。
・火葬、埋葬、納骨にかかった費用
・遺体や遺骨の回送費用
・通夜や告別式の費用
・お寺などへの謝礼(お布施,戒名料,読経料など)
・遺体の捜索や運搬・遺骨の運搬にかかった費用
・会葬御礼費用
・参列者への飲食費用や生花費用、関係者への心付けなど

葬儀に関してお悩みの方は

葬儀費用は相続税から一部控除を受けることが可能です。
葬儀や葬儀保険に関して少しでもお悩みがある方はお気軽にご相談ください!