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《天・天国・極楽》|ベル少短 かわら版 VOL.31

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《天・天国・極楽》

六道輪廻のなかで最高位にあるのが「天」ですが、この「天」は、同じ字を書く「天国」とは違います。

天、天国、極楽とならべてみますと、私達は日常的に同じイメージで使っていますが、天国は一神教の宗教であるキリスト教の理想郷を意味しています。

仏教の「天」は六道輪廻のなかの人間界よりは少しだけ上にある世界で、これも他の地獄や餓鬼と同様、決して理想郷ではなく、迷いの世界の一つなのです。

仏教でいう理想郷は「極楽」で極楽にいければ、もう二度と人間界や地獄に堕ちないと約束されています。

しかし、天には寿命があり、不安や苦しみもあります。

輪廻の法則によって、次に生まれるのが修羅か人間なのかはわかりません。

特に天を去るときの苦しみは地獄での責め苦よりはるかに悲惨であるといわれています。

仏教でいう天と、キリスト教が教える天国とは違うものなのです。

それでは、極楽とはどんな所かといいますと「阿弥陀経」によれば、金,銀、瑠璃、水晶に飾られ、地面は金でできており、砂金が敷きつめられた功徳の水をたたえる池もあり、その池には色とりどりの蓮華が咲き乱れ、美しい音楽がいつも流れていて想像を絶する世界だそうです。

機会があれば「阿弥陀経」に一度目を通してみてください、他にも宝石の瑪瑙や孔雀、鸚鵡などといった鳥も美しいものの象徴としてでてきます。

金仏壇はこのような極楽浄土の世界を現しているものといわれています。

また、仏像にも黄金色が使われているのはこのような思想があるためです。

「天」・「天国」・「極楽」いずれも似ているようで大違いですね。